【学名】Ctenopoma muriei
【命名者】George Albert Boulenger(1906)
【体長】100mm(TL)
【形態的特徴】クテノポマ属の中では全長は最も小さい。体高は目立って高くないが、文献では“deep-body group”に含められている。吻は比較的丸みを帯びている。地色のオリーブ色に、多くの黒点が散りばめられている。尾鰭は丸く、尾柄部には黒い眼状斑があり、その周囲は黄色がかっている。体全体の鱗の棘は比較的強い。
【生息地】チャド湖、ニジェール川盆地、ナイル川流域(ホワイトナイル)、ビクトリア湖、アルバート湖、コンゴ川上流、タンガニーカ湖
【寿命】不明
【好適環境】水温:23-28℃
pH:6.0-7.5
硬度:20dHまで
【シノニム】
Ctenopoma ctenotis(Boulenger,1919)
Ctenopoma houyi(Ahl,1927)
【その他】
・C.murieiは植生が多く、比較的浅い水域(深さ15~30cm)に好んで生息している。それは、空中からの捕食者(例:ヒメヤマセミ)から見つからない為の、水面からの妥当な距離を保ちつつ、空気呼吸の際の水面までの移動によるエネルギーコストを最小限に留める為であるとされる。
・産卵数は10~30個程度。C.kingsleyae(TL245mm)は513~4680個。
・かつてCtenopoma murieiには“Ctenopoma muriei ocellifer”※という亜種が存在した。“ocellifer”は「目玉の様な点」の意味であり、尾柄部の眼状斑に何らかの特徴を見出だしたものと思われるが、詳細は不明。現在、この亜種はMicroctenopoma ocelliferのシノニムとされている。現在、ムリエイは単に“Ctenopoma muriei”とだけ表記されるが、亜種が認められていた頃は、模式亜種(模式標本を含む種)の表記方法に則り、“Ctenopoma muriei muriei”とされていた。
※生物の学名は属名+種小名の二名法によって成立する。もし、これにもうひとつ名前が連なっている三名法が用いられていたとしたら、それは亜種小名であり、種としては同じだが、微妙に異なる特徴を持つ個体群に名付けられる。
・Ctenopoma murieiの種小名“muriei”はスーダンの植物学者James Murieに献名されたもの。この人物は、イギリス人探検家John Petherickと共同コレクターの立場にあり、Petherickのナイル川支流の調査に同行した。この調査の中で発見された二つの魚類標本のうち、サイズが大きいものが、後にAlbert Güntherにより、Petherickに献名された“Ctenopoma petherici”と命名され、もう一方のサイズの小さいものが、後にGeorge Albert Boulengerにより、Murieに献名された“Ctenopoma muriei”と命名された。
また、命名者のGüntherとBoulengerは同じ大英博物館に所属しており、BoulengerはGüntherに招かれたことがきっかけで、イギリス国籍を取得してまで大英博物館にやってきたという。
【参考】
1.J.-P Gosse 1986.Anabantidae.CHECK-LIST OF THE FRESHWATER-FISHES OF AFRICA,ISNB MRAC ORSTOM Paris,P 409
2.Steven Mark Norris.1982.Superspecific relationship within the genus Ctenopoma(perciformes,Anabantoidei)a morphometric analysis and preliminary phylogeny.P44-45,108
3. WIKIPEDIA「白ナイル」
4. Fish Base 「Ctenopoma muriei」
5.A.M.Randle and L.J.Chapman.2004.Habitat use by the African anabantid fish Ctenopoma muriei:implications for costs of air breathing
6.I.P.Oboh and U.C.Olowo.2017. Reproductive biology of Ctenopoma kingsleyae(Pisces:Anabantidae),from River Riluko,Edo state,Nigeria
7.George Albert Boulenger.1909. Catalogue of the fresh-water fishes of Africa in the British Museum,British Museum (Natural History). Dept. of Zoology.P65-67
クテノポマ専科
~更新情報~ 2022年1月31日「Ctenopoma動画保管庫」更新 アフリカ大陸の熱帯地域に生息するラビリンスフィッシュの仲間「クテノポマ」。私が魅了された野性味溢れるその姿と生態を、飼育下での観察と文献等から読み解き、紹介していきたい。
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