【学名】Ctenopoma petherici
【命名者】Albert Günther(1864)
【体長】174mm(TL)
【形態的特徴】形態的特徴はクテノポマキングスレイのそれと非常に良く似ており、特に幼魚期は判別が難しい。クテノポマキングスレイとの判別のポイントは主に以下の通り。
1.C.pethericiは全体的に明らかに緑がかった体色を現す時がある
2.成魚の腹鰭はC.kingsleyaeの方がグレーの色素が強い場合がある
3.C.kingsleyaeは「腹」が「銀」、C.pethericiは体の「下側」が「白っぽい」
※特にC.pethericiが警戒している時に見せる体色は、鮮やかに上下のツートンカラーとなる
4.C.kingsleyaeの臀鰭の先端は白い色素が沈着することがある
5.鰓蓋上の鱗数、側線上方鱗数、側線下方鱗数がC.pethericiの方が多い
かつてはクテノポマキングスレイとシノニムの関係にあると主張されていたが、1992年の
Norrisらの論文によって、両者は別種であると結論づけられている。
【生息地】Nile川(White Nile、スーダン)、Chad湖周辺、Niger川、Senegal川、Sassandra川、Volta湖周辺、Oueme川、Prah川、Tano川
【寿命】不明
【好適環境】
水温:22-26℃
pH:不明
硬度:不明
【飼育雑感】このクテノポマは平成29年の11月に我が家にやってきた。このクテノポマはインボイス「クテノポマオケラータム」で輸入されてきており、当時、クテノポマウィークシーを入手したいと熱望していた私は、「クテノポマオケラータム入荷」とのショップからの報告を見送った。しかし、翌日になり、そのショップの入荷情報をチェックすると、「オケラータム」の表記が「ペセリシ」と見慣れない表記に変わっていた。インボイスとは異なる魚であったわけだ。私は慌ててこのクテノポマの情報をかき集め、何とか二匹入手することができた。
実際に目の当たりにしてみると、オケラータムでもなければキングスレイでもない。上述のようにキングスレイと限りなく似ているが、私の印象としては、そのカラーパターンがキングスレイとは最も異なるところ。気分や環境の影響を受け美しいオリーブグリーンの体色を示すのだ。そして、キングスレイとは異なり同種に対しての当たりは非常に強く、後に2匹のうちの1匹は殺されてしまった。しかし、他種に対しては殆ど攻撃的な面は見せない。頑健さは他のクテノポマと同様。現在全長12~13㎝程。私の最もお気に入りのクテノポマだ。
【シノニム】
Ctenopoma riggenbachi
Ctenopoma togoensis
【その他】
・学名「petherici」はイギリス人探検家のJohn petherickに献名されたもの。命名したのは、ドイツの動物学者Albert Günther。 Güntherは「Travels in central Africa, and explorations of the western Nile tributaries」という著書を1869年に残している。Petherickが実際にアフリカを旅していたのは1861年頃と記録されている事から、この旅の中で彼が新種のクテノポマを発見し、Guntherに標本を提供したのではないか。献名された人物は、新種記載された種を採集して命名者に提供した人物であることが最も多く、他にも命名者が恩義を感じていたり、尊敬している人物がその対象となる事もあるそうだ。
・シノニム“Ctenopoma riggenbachi”の由来はドイツの動物学者F.W.Riggenbach。
【参考】
1.George Albert Boulenger.1909. Catalogue of the fresh-water fishes of Africa in the British Museum,British Museum (Natural History). Dept. of Zoology.P61-62
2.J.-P Gosse 1986.Anabantidae.CHECK-LIST OF THE FRESHWATER-FISHES OF AFRICA,ISNB MRAC ORSTOM Paris,P 412-413
3.Steven M.Norris and Michabl E.Douglas.1992.Geographic Variation, Taxnomic Status,and Biogeography of Two Widely Distributed African Freshwater Fishes:Ctenopoma petherici and C.kingsleyae(Teleostei:Anabantidae)
4. WIKIPEDIA「John Petherick」
5. Fish Base「Ctenopoma petherici」
↑↓ TL20cmほどある個体をユニバーサルアクアリウムさんから購入(2022.12.22)。私が購入した「ギニア産オケラータム」として販売されていた個体と同じ便でやってきた個体らしい。
クテノポマ専科
~更新情報~ 2022年1月31日「Ctenopoma動画保管庫」更新 アフリカ大陸の熱帯地域に生息するラビリンスフィッシュの仲間「クテノポマ」。私が魅了された野性味溢れるその姿と生態を、飼育下での観察と文献等から読み解き、紹介していきたい。
0コメント