【学名】Ctenopoma weeksii
【命名者】George Albert Boulenger(1896)
【体長】120mm(TL)
【形態的特徴】全体的なフォルムはCtenopoma maculatumと似ているが、サイズやカラーパターン、僅かな体型の違いにより区別が可能(※クテノポマ マクラータムの項目を参照)。カラーパターンは、淡褐色を基調とし、様々な色合いに変化を見せる。最も特徴的なのは、茶褐色と淡褐色が混ざったような複雑な斑模様が出現する時であり、この時、背鰭の基部から腹部にかけて、淡褐色のバンドが出現する。躯幹部中央の黒斑はこのバンドの中心部に位置する。
【生息地】コンゴ盆地中央部(コンゴ川、Kasai川、sangha川)
【寿命】不明
【好適環境】水温:24~28℃
pH:6.2~7.2
硬度:4~15dH
【飼育雑感】このクテノポマが我が家にやってきたのは、2018年9月のことだった。クテノポマに熱中し出してから3年余り、このクテノポマウィークシーの導入を心待ちにしてきたが、その間、輸入されたのはおそらく私が知る限りでは一度だけだった。
このクテノポマウィークシーは、隠蔽的性質が強いタイプかと思っていたが、外的がいない環境においては、かなりアグレッシブに餌をねだる様子が見られる。また、他のクテノポマには全くと言っていいほど攻撃的な面を見せないが、同種のより小型な個体に対しては強いプレッシャーをかける様子がしばしば見られる。
【シノニム】C.oxyrhynchum(Boulenger,1902)
【その他】
上述の通り、Ctenopoma maculatumとC.weeksiiは形態的特徴が似ている為、両者の間では分類学上の混乱がかつて生じていた。 C.maculatumが新種として記載された1886年の10年後、BoulengerはC.weeksiiを新種として記載している。しかし、その20年後の1916年、Boulengerは自らC.weeksiiをC.maculatumのシノニム(同種異名)であると記録している。一方、Boulengerは1902年に新種としてC.oxyrhynchumを記載する。その後、1982年に、NorrisはC.weeksiiはC.oxyrhynchumの「syntype(等価基準標本)」、つまりC.weeksii=C.oxyrhynchumであると述べている。ただし、Norrisはこの時点ではまだC.oxyrhynchumを正しい学名であるとして扱っている。その後の経緯は調べきれていないが、おそらく命名法上の用法に則り、語義的には双方「シノニム」である両者のうち、先につけられた名(古参異名)「Ctenopoma weeksii」(Boulenger,1896)が有効な学名であり、後からつけられた名(新参異名)「Ctenopoma oxyrhynchum」(Boulenger,1902)は無効な学名であるとされたのだろう。
シノニムであるクテノポマ オキシリンカムの種小名「oxyrhynchum」とは、「oxy」→鋭い、「rhynchos」→嘴、という意味であり、この種の比較的尖った吻を示すものと思われる。因みに、クテノポマ属が棲むアフリカ大陸のエジプトには、「oxyrhynchus」という都市があり、これはエジプト神話に登場する神聖な魚に由来する地名らしい。この魚は現在のモルミルス(エレファントノーズ)だと考えられており、クテノポマオキシリンカムとは全く関係がないようだ。
【参考】
1.J.-P Gosse 1986.Anabantidae.CHECK-LIST OF THE FRESHWATER-FISHES OF AFRICA,ISNB MRAC ORSTOM Paris,P 408-409,412
2.Melanie L. J. Stiassny, Guy G. Teugels, Carl D. Hopkins 2007.THE FRESH AND BRACKISH WATER FISHES OF LOWER GUINEA,WEST-CENTRAL AFRICA,Institut de recherche pour le développement,P267
3.George Albert Boulenger.1909. Catalogue of the fresh-water fishes of Africa in the British Museum,British Museum (Natural History). Dept. of Zoology.P65-67
4. Fish Base 「Ctenopoma weeksii」、「Ctenopoma maculatum」
クテノポマ専科
~更新情報~ 2022年1月31日「Ctenopoma動画保管庫」更新 アフリカ大陸の熱帯地域に生息するラビリンスフィッシュの仲間「クテノポマ」。私が魅了された野性味溢れるその姿と生態を、飼育下での観察と文献等から読み解き、紹介していきたい。
0コメント